ツナ缶に使われているマグロ・カツオには水銀が含まれています。
「ツナ缶を食べ過ぎると水銀の摂りすぎになるのでは」と心配している方もいるのではないでしょうか。
結論、ツナ缶にはそこまで水銀が含まれていないため、妊娠中でも控える必要はありません。
本記事では、大人・子ども・妊婦は週に何個のツナ缶を食べて良いのか、妊婦がツナ缶以外に注意すべき魚介類は何かを解説します。
水銀の摂りすぎは、胎児・幼児の発育障害や学習機能の低下を招きます。注意すべき食べ物を知って、子どもの健康を守りましょう。
ツナ缶が健康に悪いと言われる原因は水銀
ツナ缶が健康に悪いと言われる理由は、水銀を多く含む魚(マグロ・カツオ)を使っているからです。水銀は摂りすぎると神経系に大きなダメージを与えます。
妊婦や幼児は水銀の影響を受けやすいため、特に注意が必要です。
ツナ缶は週に何個まで食べて良い?
妊婦や幼児でなければ、ツナ缶は毎日食べても問題ありません。
ここでは、ツナ缶を1週間にどれだけ食べても良いかを、厚生労働省や食品安全委員会のデータや見解を基に解説します。
妊婦・幼児以外|毎日食べても問題ない
妊婦・幼児以外の大人・子どもは、ツナ缶を毎日食べても問題ありません。
妊婦・幼児以外は、1週間に3.4μg/体重kgの水銀を摂っても十分に安全性が見込まれる(※1)とされています。これは、50kgの人であれば1週間に170μgの水銀を摂っても良いということです。
ツナ缶(80gを想定)には、9.12μg程度の水銀が含まれています(※2)。170÷9.12≒18.6ですから、1週間に18個のツナ缶を食べても十分な安全が保障されます。
しかし、ツナ缶のみから水銀を摂取するわけではありません。ここでは「現実的に考えて何個までツナ缶を食べられるのか」を考えてみましょう。
日本人の平均的な水銀の摂取量は、1週間で58.9μgです。体重50kgであれば170μgの水銀を摂取しても十分な安全が見込まれるため、残り約111μgの水銀を摂取できるということになります。
111μgは、ツナ缶約12個分です。これより、一般的な食事に加えて、1週間に12個のツナ缶を食べても問題ないということになります。
毎日2個以上ツナ缶を食べているという方は少し量を減らした方が良いですが、ツナ缶を食べるのが習慣化していない方は、安心して食べられます。
妊婦・幼児|1週間5個以下にするべき
幼児は水銀の影響を受けやすく、摂りすぎると発達障害や学習機能の低下を引き起こします。そのため、幼児・胎児に影響を与える妊婦は、水銀の摂取量を少なくする必要があります。
食品安全委員会は、胎児(すなわち妊婦や妊娠の可能性がある女性も含む)の水銀摂取量は、1週間に2.0μg以下にするよう定めています。
妊婦の平均体重は55.5kgのため、一般的な妊婦は、水銀量を111μgまでに抑えれば良いという計算になります。
先ほどと同様に、「現実的に考えて何個までツナ缶を食べられるのか」を考えます。
日本人の平均的な水銀の摂取量は、1週間で58.9μgです。一般的な妊婦は111μgまで水銀を摂っても十分な安全性が見込まれるため、残り約52μgの水銀を摂取しても良いという計算になります。
52μgは、ツナ缶5~6個分です。これより妊婦や幼児は、一般的な食事に加えて1週間に5個のツナ缶を食べても問題ないということになります。
毎日食べてしまうと水銀摂取量が多くなってしまいますが、そこまで神経質に避けなくても問題ないということが分かりますね。
妊娠中に気をつけるべき水銀の多い魚はどれ?
ツナ缶は、妊娠中であってもそこまで神経質に避けなくても問題ありません。しかし、ツナ缶の何倍もの水銀を含む魚介類も存在します。
ここでは、「妊娠中でも食べても良い魚」から「週1,2回に抑えるべき魚」「妊娠中は食べない方が良い魚」を紹介します。
水銀少|妊娠中でも気にせず食べて良い魚
以下の魚は、水銀含有量が非常に少ないため、特別な注意は必要ありません。
- キハダマグロ
- ビンナガマグロ
- ツナ缶
- サケ
- アジ
- サバ
- イワシ
- サンマ
- タイ
- ぶり
- カツオ
日常的に食べるほとんどの魚は、特に気にせず食べても問題ありません。
食べても大丈夫な魚は多すぎるため、次に紹介する注意すべき魚を覚えるようにしましょう。
水銀中|妊娠中は週1,2回程度に抑えるべき魚
妊娠中に食べても良いですが、1,2回の摂取に控えた方が良い魚を紹介します。なお、1回あたりの摂取量は80gとします。
- ミナミマグロ(インドマグロ)
- クロマグロ(本マグロ)
- メバチマグロ
- キダイ
- キンメダイ
- メカジキ
なじみのない魚も多いと思いますが、もし見かけた際には食べ過ぎないよう注意してください。
水銀多|妊娠中は食べない方が良い魚
妊娠中、以下の魚は食べない方が良いです。食べるとしても、1ヵ月~2ヵ月に1度、1食分(80g)程度に抑えるようにしてください。
- コビレゴンドウ
- バンドウイルカ
ツナ缶の健康メリット3つ
ツナ缶は水銀のイメージもあり、健康に悪いと思われがちですが、健康メリットがたくさんある食品です。ここでは、ツナ缶の健康メリットを3つ紹介します。
- DHA・EPAが含まれている
- 糖質が少ない
- たんぱく質が豊富に含まれている
DHA・EPAが含まれている
ツナ缶には、オメガ3脂肪酸であるDHAやEPAが豊富に含まれています。
DHAとEPAは、1日に合わせて1000mg以上摂ることが望ましいとされています。
以下に、いくつかのツナ缶に含まれるDHA・EPA量を紹介します。1缶食べるだけで、1日の目標量である1000mgに大きく近づくことが分かります。
商品名 | DHA・EPAの量 |
---|---|
マルハニチロ 「油そのままツナフレーク まぐろ油漬オリーブオイル 仕立て」 1缶(70g) | DHA:726mg EPA:134mg 計:860mg |
ホテイフーズ 「中性脂肪を下げる液切り いらずのしっとりツナ」 1袋(55g) | DHA:322mg EPA:538mg 計:860mg |
オメガ3脂肪酸は、動脈硬化の防止や認知機能の向上などの効果を持ちます。DHAやEPAは、脳機能を発達させるためにも、子どもにも積極的に摂らせてあげたい栄養素です。
魚を食べるとIQが上がる理由や、認知機能を上げるDHA・EPAが多く含まれている魚は、以下の記事で解説しています。小さなお子様をお持ちの方は参考にしてみてください。
糖質が少ない
ツナ缶には、糖質がほとんど含まれていません。以下に、いくつかのツナ缶に含まれる糖質量を紹介します。
商品名 | DHA・EPAの量 |
---|---|
マルハニチロ 「油そのままツナフレーク まぐろ油漬オリーブオイル 仕立て」 1缶(70g) | 0g |
ホテイフーズ 「中性脂肪を下げる液切り いらずのしっとりツナ」 1袋(55g) | 0g |
ツナ缶は糖質が少ないですが、食べ応えがあるためダイエットに最適です。糖質量を抑えたいときには、ツナ缶を活用してみてください。
妊娠中に食べても太らない食べ物は、以下の記事で解説しています。妊娠中の体型にお悩みの方は、参考にしてみてください。
たんぱく質が豊富に含まれている
ツナ缶の主原料は魚のため、たんぱく質が豊富に含まれています。以下に、いくつかのツナ缶に含まれるたんぱく質量を紹介します。
商品名 | DHA・EPAの量 |
---|---|
マルハニチロ 「油そのままツナフレーク まぐろ油漬オリーブオイル 仕立て」 1缶(70g) | 11.9g |
ホテイフーズ 「中性脂肪を下げる液切り いらずのしっとりツナ」 1袋(55g) | 10.7g |
体重50kgの人は、たんぱく質を1日に40g程度摂れば良いと言われています。ツナ缶には10g程度のたんぱく質が含まれていますので、ツナ缶1缶で1日の4分の1のたんぱく質を摂取できます。
このようにツナ缶は、低糖質で高たんぱくの、ダイエットに最適な食べ物です。ツナ缶は健康に悪いと言われることもありますが、全くそんなことはないので、安心して食べてください。
まとめ|ツナ缶は妊娠中でも食べてOK
本記事は、ツナ缶が健康に悪いと言われる理由や、栄養成分について解説しました。
ツナ缶は水銀含有量が少なく、妊娠中でも特に注意することなく食べられます。
むしろ、1週間に2,3個であればDHAやEPAを摂取でき、子どもの発育に良い影響を与えられます。
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