「早食いは太る」と聞いたことがありませんか?
実際その通りで、早食いはメタボや糖尿病のリスクを上げます。しかし、なぜ食べている量は同じなのに、太りやすくなってしまうのでしょうか。
本記事では、ゆっくり食べるコツや痩せる理由、またどれだけゆっくり食べれば良いのかを解説します。
食べるのが少し速いかも…という方は、ぜひ参考にしてください!
ゆっくり食べると痩せる4つの理由【肥満との関係】
食べる速度を落とすだけで、肥満を防ぐことができます。
ここでは、その理由を3つご紹介します。
噛むことで満腹中枢が刺激される
ゆっくり食べると、噛む回数が多くなる傾向にあります。その「噛む」という行為が肥満を予防するカギなのです!
噛む回数が多くなると、満腹感を感じる神経が刺激され、少量でもお腹いっぱいに感じます。
満腹中枢が刺激される理由(クリックで詳細)
よく噛むとどうなる?
人は、満腹感をつかさどる満腹神経が刺激されると、お腹がいっぱいになったと感じます。
その満腹中枢は、噛むことによって刺激されるのです。
満腹中枢は脳の「視床下部」という場所にあるのですが、食べ物を噛むと「後部視床」の下部が刺激されます。
その刺激によって、ヒスタミンという神経伝達物質の生成が促進されて、神経回路の働きが活発になり、満腹中枢を刺激します。
「少ない量じゃ満足できない」という方でも、噛む回数を増やしてみると、いつもと同じ量でより満腹感を得られますよ。
食事量が少ない段階で満腹中枢が刺激される
満腹中枢は、血糖値の上昇によっても刺激されます。
しかし、血糖値はすぐには上がらないのに加え、満腹中枢が血糖値の上昇に気づくまでに時間がかかります。
その時間は「15分」と言われています。つまり、初めの15分はどれだけ食べても満腹感を感じにくいのです。
初めの15分間は食べすぎに気づきにくいため、特にゆっくり食べるようにしてください!
食事後の「食事誘発性体熱産生」が増加する
「食事誘発性体熱産生」という言葉を知っていますか?食事をして身体が栄養素を分解する時に消費するエネルギーのことです。
なんと、栄養素を分解するだけで一日に消費するエネルギーの10%程度を消費します。
さらに、よく噛むことで消費エネルギーが増えることも分かっています。
肥満の行動療法として「咀嚼法」というものもあるくらい、噛むことは重要です。しっかり噛んで、食事誘発性熱産生を増やしましょう!
水分摂取量を増加させる
アメリカのロードアイランド大学で行われた研究では、ゆっくり食べると水分摂取量が増える可能性があると報じています。
水分摂取量が多くなると体内のエネルギー消費が増え、痩せやすくなります。
ゆっくり食べることは、水ダイエットの効果も得られるという、一石二鳥のダイエット効果を持っています。
水ダイエットの方法や効果は以下の記事で解説しています。興味のある方は参考にしてください。
ゆっくり食べるコツ6選
ゆっくり食べることが良いと知っても、食事の習慣はなかなか変えられないもの。ここでは、ゆっくり食べるコツを6つご紹介します。
いきなり全部やろうとすると、なかなかうまくいきません。実践できそうなものからチャレンジしてください!
やわらかいものばかり食べない
パンや麺など、柔らかいものは噛む回数が少なくなる傾向にあります。
柔らかいものを食べてはいけない、というわけではありませんが、何を食べようかと迷ったときは、食べ物の硬さで選んでみるのもアリです。
硬いものが嫌いという方は、弾力があるものもおすすめ。きのこやこんにゃく、イカなど、硬くはないけど噛まないといけない食べ物は自然と噛む回数が多くなります。
特に、間食は柔らかいものを食べがち。ケーキやチョコなどばかり食べている方は、せんべいやドライフルーツなどに変えてみると噛む回数が増えますよ。
以下の記事では、ダイエット中におすすめの食べ物を紹介しています。ダイエット中に何を食べれば良いかわからない方は、ぜひ参考にしてください!
食材は大きめにカットする
小さくカットされた食材は、少し噛むだけで小さくなり飲み込めてしまいます。
野菜や肉などを自分でカットする際は、いつもより大きめにカットすると自然と噛む回数が増えます。
特に、カレーやシチューなどの液体が混じったメニューは噛む回数が少なくなりがちです。
人参・ジャガイモを大きく切るなど噛む工夫をして作るようにしましょう!
食事の時間にゆとりを持つ
急いで食べようとすると飲み込むスピードが速くなり、噛む回数が減ってしまいます。食事の時間を少し長めにとるようにしましょう。
どうしても時間が取れないという方は、5分伸ばすだけでも効果があります。いつもより少しだけ余裕を持って食べるようにしてみましょう。
噛む回数を意識する
噛む回数を増やせば、満腹中枢も刺激されて食事の時間も長くなります。
噛む回数が少ないと感じている方は、回数を数えながら噛むのも一つの手です。
目安は一口で30回。あまり噛んでいない方は、噛むことを意識するだけでもゆっくり食べることができるようになりますよ。
食事中のスマホやテレビはほどほどに
食事中にテレビやスマホを見ているという方も多いのではないでしょうか。
食べること以外に集中してしまうと噛む回数が大幅に減り、食べ過ぎてしまう傾向にあります。
特にはじめの15分は、満腹中枢が血糖値の上昇に気づかないため要注意。はじめの15分は食事だけ摂ることをおすすめします。
どうしてもテレビが見たいという方でも、CMの間は食事に集中したり、Youtubeが見たいという方も5分に1回一時停止したりと工夫はできるはず。
自分自身のライフスタイルに合わせて工夫するようにしてみてください。
汁物や水で流し込まないようにする
汁物や水で流し込んでしまうと、噛まなくてものどに詰まりにくいため、噛む回数が少なくなる傾向にあります。
汁物を飲むときは、口に食べ物が入っていないか確認してから飲むと良いです。
また、食事中の水はやめるのも一つの手です。食事中に水を飲むと胃酸の濃度が薄くなり、分解するのに時間がかかってしまいます。
また、唾液が必要なくなるため分泌量が落ち、消化不良や口臭悪化などを引き起こしてしまいます。
水を置いていないと、詰まらないように食べるよう意識して、噛む回数が増えます。流し込んでいた方は、水を飲まないようにしてみてはいかがでしょうか。
「ゆっくり食べる」の基準は何分?
ゆっくり食べるの基準は20分以上と考えてもらえれば良いです。
「ゆっくり食べると痩せる3つの理由」でも紹介しましたが、満腹中枢が血糖値の上昇に気づくのが15分程度です。
しかし、血糖値の上昇時間には個人差があり、長くかかってしまう方は20分ほどかかります。そのため、最低でも20分は食事に充てた方が良いでしょう。
食事に時間をかけるデメリットは時間がかかるくらいです。それよりも時間をかけた方が大きなメリットが得られます。
また、食事の時間も大切ですが「噛む回数」も重要です。
噛むメリット
- 満腹中枢への刺激
- 食事誘発性体熱産生の増加
- 胃腸の負担軽減
- 唾液分泌の促進
噛むメリットはたくさんあります。目標は30回。難しい方は、はじめは15回、次に20回、など5回ずつ増やしていくのが良いでしょう。
大切なのは継続することです。無理のない範囲で続けていけるようにしましょう。
ゆっくり食べると糖尿病を予防できる
ゆっくり食べると、血糖値の急激な上昇を抑えることができるため、糖尿病のリスクを下げることができます。
しかし、早食いをしてしまうと血糖値が急激に上昇するため、インスリンが短期間で大量に分泌されます。
インスリンとは?(クリックで詳細)
インスリン
膵臓から分泌されるホルモン。血糖値を下げる役目を持っている。
働きが弱くなると、血中の糖を臓器に取り込む量が減り、血糖値が高めになる。
Ⅱ型糖尿病は、インスリンの働きが低下することによって起こる。
毎食のようにインスリンを短期間で大量に分泌していると、膵臓が疲弊し、インスリン分泌能が落ちてしまいます。
インスリンが分泌されないと、血糖値を下げる能力が落ちるため、結果的に糖尿病になってしまいます。
ゆっくり食べることで、膵臓に負担がかかりすぎず、糖尿病を予防することができます。
特に、甘いものが好きな方はゆっくり食べるようにしてください!
【まとめ】ゆっくり食べるコツ・痩せる理由
ゆっくり食べることで、肥満や糖尿病を防ぐことができます。
ゆっくり食べるコツは
- やわらかいものばかり食べない
- 食材は大きめにカットする
- 食事の時間にゆとりを持つ
- 噛む回数を意識する
- 食事中のスマホやテレビはほどほどに
- 汁物で流し込まないようにする
です。
実践できそうなものからチャレンジしてください!
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