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発酵食品を摂りすぎると腸カビが生える?原因と対処法を解説

発酵食品は乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が豊富に含まれていることから、腸内フローラのバランスを整えるのに有効な食品として知られています。

しかし、発酵食品を摂りすぎると「腸にカビが生える」といわれることがあります。これが本当であれば、発酵食品の取り入れ方を見直す必要があるかもしれません。

本記事では、発酵食品を摂りすぎると本当に腸カビが生えるのかどうか解説します。腸カビが生える原因と対処法も紹介するので、参考にしてください。

発酵食品を摂りすぎると腸にカビが生える?

チーズや味噌などの発酵食品

発酵食品を摂りすぎると、腸内フローラのバランスが崩れることによって、腸内のカビが増える可能性があるといわれています。

人間の腸内には、およそ1,000種類の細菌が100兆~1,000兆個も生息していることが知られており、そのなかには真菌の一種であるカビも含まれています。

通常、腸内に存在しているカビが健康に悪影響を及ぼすことはありません。しかし、腸内フローラのバランスが崩れると、カビが増殖してさまざまな不調を引き起こします。

発酵食品は、一般的に腸内フローラのバランスを整える食品ですが、過剰に摂りすぎると腸内フローラのバランスが崩れることがあります。

「発酵食品を摂りすぎると腸にカビが生える」といわれるのは、このためです。

キュウリやニンジンなどのぬか漬けのプレート

しかし、発酵食品の摂取によって腸内のカビが増殖したという研究結果は少なく、発酵食品の摂取が原因で腸内がカビだらけになることは考えにくいといえます。

世の中にはさまざまな発酵食品があり、それらを避けることは現実的ではありません。

特定の食品を極端に食べすぎない限り、発酵食品の摂りすぎによるカビの増殖を心配する必要はないといえるでしょう。

過敏性腸症候群(IBS)や小腸内細菌異常増殖(SIBO)の方は注意

基本的には発酵食品の摂りすぎを気にする必要はありませんが、IBSやSIBOの方は注意が必要です。

IBSとは、大腸の正常な機能を妨げる病気です。腹痛や便秘、下痢などの症状があり、ストレスや生活習慣が主な原因と考えられています。

また、SIBOとは、小腸内の細菌が異常に増殖し、大量のガスを発生させる病気です。おなかの張りや腹痛、胃酸の逆流などの不調を引き起こします。

お腹を押さえる女性

これらの症状に悩む方のなかには、腸内フローラのバランスを良くするために発酵食品を積極的に摂取している方がいます。

しかし、過敏性腸症候群の患者を対象としたある研究では、発酵食品を食べることで症状が悪化したという報告もあります。

このように、発酵食品は適度に摂れば健康に良い影響を与えますが、過剰に摂りすぎると悪影響を及ぼすこともあります。

発酵食品に限らず「健康に良い」からといって摂りすぎには注意が必要です。特にIBSやSIBOに悩んでいる方は、バランスの良い食事を心がけてください。

腸カビの種類

ここでは、腸カビの種類を3つ紹介します。

カンジダ

カンジダは、腸内にもともと存在している真菌(カビ)の一種です。

通常時は身体に悪影響を及ぼすことはありませんが、異常に増殖すると吐き気や下痢などの症状を引き起こすことがあります。

また、増殖したカンジダが血流を介して全身に広がると、皮膚のかゆみやアレルギー症状を引き起こしたり、ほかの臓器に悪影響を及ぼしたりすることもあります。

腸内のカンジダ

マイコトキシン

マイコトキシンとは、カビが産生する毒素のことを指します。「カビ毒」と呼ばれることもあり、ヒトや家畜の健康に悪影響を及ぼす物質です。

現在300種類以上のマイコトキシンが確認されており、マイコトキシンによって汚染された農産物や食品を直接食べることなどによって、肝臓がんなどを誘発する可能性があるといわれています。

マラセチア

マラセチアは、皮膚や腸内にもともと存在するカビの一種です。

カンジダ同様、通常は身体に悪影響を及ぼすことはありませんが、腸内フローラのバランスが崩れると、マラセチアが異常に増殖する可能性があるといわれています。

腸内のマラセチアが増加すると、マラセチアが膵臓に移行して、膵臓がんの発癌を促進する可能性が示唆されています。

腸カビが増える(腸内フローラが乱れる)原因と対処法

では、腸カビが増える原因は何なのでしょうか。ここでは腸カビが増える原因とその対処法について解説します。

食生活の乱れ

バランスの偏った食生活は、腸内フローラが乱れる原因としてよく知られています。特に、菓子パンやジュースなど砂糖を多く使った食べ物は、カンジダの増殖を促進します。

また、脂質の摂りすぎも悪玉菌を増加させる原因の一つです。

例えば、飽和脂肪酸を多く含む肉類を摂りすぎることで、腸内フローラのバランスが崩れ、腸カビが増えることがあります。

腸内フローラを整えるためには、特定の食品に偏った食生活ではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

ハンバーガーなどのジャンクフードを食べていると腸内環境が乱れる

生活習慣の乱れ

睡眠不足や運動不足などの生活習慣の乱れも、腸カビが増える原因の一つです。

睡眠と腸の働きは密接に関係しており、睡眠不足では腸の働きが低下して悪玉菌が増え、腸内フローラのバランスが崩れやすくなります。

適切な睡眠時間は個人差があるものの、成人では6~8時間が適正な睡眠時間と考えられています。

睡眠不足を感じている方や6時間以上寝ていない方は、生活習慣を整えながら少しずつ睡眠時間を増やしていきましょう。

また、腸内フローラを整えるには、運動も効果的です。運動は腸内の善玉菌を増やす効果があるという報告があります。

例えば、朝に運動をすれば、腸内フローラを改善しながら生活習慣を整えることができます。無理をしない程度に、運動を取り入れることもおすすめです。

朝に目覚めた男性

免疫力の低下

腸カビの主な原因となるカンジダは、免疫機能の低下によっても増殖します。免疫機能の低下を防ぐためには、先述のように食生活や生活習慣を整えることが大切です。

また、発酵食品に豊富な善玉菌は、免疫機能を高める効果も確認されています。

IBSやSIBOの方は摂りすぎに注意が必要であるものの、普段の食事に発酵食品を取り入れることで、免疫力の向上が期待できます。

過剰なストレス

過剰なストレスは、腸内フローラのバランスにも悪影響を及ぼします。

ストレスが強い状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、常に交感神経が刺激される状態になります。

腸などの消化器官は副交感神経が優位になることで正常に働くため、過剰なストレスは腸の働きを低下させ、腸内フローラのバランスを乱す原因となるのです。

よって、意識的にリラックスする時間をつくるなど、ストレスを溜めないような生活を送ることも腸カビの予防に有効といえるでしょう。

瞑想はストレス解消に有効

発酵食品と腸カビに関するよくある質問

ここでは、発酵食品と腸カビに関するよくある質問について回答します。気になる疑問について解説するので、参考にしてください。

発酵食品を毎日摂っても大丈夫ですか?

発酵食品は毎日摂っても大丈夫です。

食事から摂った善玉菌は身体に定着しにくいため、継続的に摂取することで腸内フローラのバランス改善への効果が期待できます。

ただし、キムチや味噌、ぬか漬けなどの塩分が高いものには注意が必要です。

日本人は塩分を摂りすぎな傾向があるうえ、塩分の多い食事は逆に善玉菌を減らす原因になるため、可能な限り塩分の少ない発酵食品を選びましょう。

発酵食品のキムチは健康に良いが食べ過ぎると塩分過多になる

腸カンジダの増殖を防ぐには何を食べればよい?

バランスの良い食事です。

腸カンジダの増殖を防ぐためには、特定の食品をたくさん摂るのではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

主食・主菜・副菜をバランスよく揃えるほか、善玉菌のエサとなる食物繊維を多く摂取することで腸内フローラのバランスを整えることにつながります。

バランスの良い食事が最も重要

糖質に偏った食事や脂質の多い食事は腸内の悪玉菌を増やし、腸カンジダの増殖を引き起こしやすくなるため、避けるようにしましょう。

また、先述のように塩分量の多い食事にも注意が必要です。

腸内フローラを改善する特効薬はないため、日頃から高糖質・高脂質・高塩分食を避け、毎日の食事バランスを整えることが最も大切といえるでしょう。

まとめ|発酵食品もバランスよく食べて腸カビを防ごう

発酵食品を摂りすぎると腸にカビが生えると言われることがありますが、適度な摂取であればむしろ身体に良い影響を与えます。

発酵食品による腸内フローラへの影響には個人差がありますが、適切な摂取量であれば、腸内フローラのバランスを整える効果も期待できます。

腸内フローラのバランスを整えるためには、特定の食品に偏った食生活ではなく、さまざまな食品をバランスよく取り入れることが大切です。

本記事で紹介した対処法も参考に、発酵食品もバランスよく取り入れながら腸カビを防ぎましょう。

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