鮭は、たんぱく質が豊富で、脳の健康やコレステロールの低下に役立つDHA・EPAが含まれている優れた食材です。
近年の研究では、鮭がダイエットに役立つことも確認されています。ヨーロッパの研究では、2ヵ月で7kgの減量に成功した例もあります。
しかしながら、鮭は食べ方や調理方法によっては太る原因にもなることもあります。
本記事では、鮭でダイエットする際に知っておきたい知識やレシピを紹介。研究や事例などの確かな情報を基に、鮭ダイエットを徹底解説します。
鮭はダイエットに最適!4つの健康効果

鮭は、低カロリーで良質な脂質が含まれていることから、ダイエットに適した食材といえます。ここでは、鮭が持つ4つのダイエット・健康効果を解説します。
カロリーが低い
鮭は100g当たり約130kcalと、カロリーが低い食材です。鮭1切れ当たりのカロリーは約100kcalであり、主菜のカロリーを大きく抑えられます。
100g当たりの カロリー | 1切れ(80g) 当たりのカロリー | |
---|---|---|
白鮭 | 124 kcal | 99 kcal |
紅鮭 | 127 kcal | 102 kcal |
銀鮭 | 188 kcal | 150 kcal |
銀鮭は脂質が多いため、他の鮭と比べるとカロリーが高めです。カロリーを抑えたい場合は、白鮭や紅鮭を選ぶようにしましょう。
たんぱく質が豊富
鮭には100g当たり約20gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は筋肉を作るために必要であり、基礎代謝を上げるためにもダイエット中は積極的に摂りたい栄養素です。
以下のように、鮭には鶏肉や牛肉に匹敵するたんぱく質が含まれています。
100g当たりの たんぱく質 | 1切れ(80g) 当たりのたんぱく質 | |
---|---|---|
白鮭 | 22.3g | 17.8g |
紅鮭 | 22.5g | 18.0g |
銀鮭 | 19.6g | 15.7g |
鶏むね (皮付き) | 19.5g | ー |
牛肩 | 17.7g | ー |
厚生労働省が定める1日当たりのたんぱく質の目標摂取量は、成人男性で約90~130g、成人女性で65~100g程度です。
つまり、鮭1切れで男性は約15%、女性は約20%のたんぱく質を摂取できることがわかります。
鮭は、ダイエット中にたんぱく質が不足していると感じている方におすすめしたい食材です。
DHA・EPAが中性脂肪・コレステロールの値を整える
鮭の脂質には、必須脂肪酸のDHA・EPAが多く含まれています。
DHA・EPAは、オメガ3脂肪酸という体内で生成できない脂肪酸であり、脳や目の機能によい影響を与えたり、中性脂肪やコレステロールの値を整えたりする機能があることがわかっています。
100g当たりに含まれる オメガ3脂肪酸 | 1切れ(80g)当たりに 含まれるオメガ3脂肪酸 | |
---|---|---|
白鮭 | DHA:460 mg EPA:240 mg | DHA:368 mg EPA:192 mg |
紅鮭 | DHA:480 mg EPA:270 mg | DHA:384 mg EPA:216 mg |
銀鮭 | DHA:890 mg EPA:310 mg | DHA:712 mg EPA:248 mg |
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、DHA・EPAを含むオメガ3脂肪酸の、1日当たりの食事摂取基準は、以下のようになっています。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
15~49歳 | 2.2 g | 1.7 g |
50~64歳 | 2.3 g | 1.9 g |
65歳以上 | 2.3 g | 2.0 g |
例えば、銀鮭1切れには約0.95gのオメガ3脂肪酸が含まれています。よって、銀鮭を1切れ食べるだけで1日に摂りたいオメガ3脂肪酸の半分ほど摂取できることがわかります。

オメガ3脂肪酸は、健康診断の測定項目にもなっているTG(トリグリセライド)やLDLコレステロールの値を整える機能を持っています。
EUの「SEAFOODplus」というプロジェクトの研究によると、鮭を週3回摂取してカロリー制限を実施したグループは、以下のような結果が得られています。
検査項目 | 効果 |
---|---|
TG 中性脂肪 | ◎ 明確に低下 |
TC 総コレステロール | 〇 低下 |
HDLコレステロール 善玉コレステロール | ◎ 下げ幅を抑えられた ※ダイエットすると 大幅に低下する傾向にある |
LDLコレステロール 悪玉コレステロール | 〇 低下 |
研究では、鮭を食べることで多くのオメガ3脂肪酸を摂ることができ、中性脂肪やコレステロールの値が整ったと述べられています。
このように鮭には、中性脂肪やコレステロールの値を整える作用があります。
健康診断で、TG・LDLコレステロール・HDLコレステロールの値が正常でなかった方は、鮭を食べることで改善できるかもしれません。
ダイエット中におすすめの鮭の調理方法
ダイエット中には、調理方法にも注意が必要です。例えば、揚げ物は油が多くなるため、ダイエット中は控えめにしたい調理方法です。
ここでは、ダイエット中におすすめの鮭の調理方法を3つご紹介します。
グリル焼き|油が落ちてヘルシー

グリル焼きは、調理中に油が落ちるヘルシーな調理方法です。油を敷く必要もないため、余分な油を摂る心配もありません。
しかし、鮭の脂が落ちるということは、オメガ3脂肪酸のDHAやEPAも落ちるということです。DHAやEPAを摂る目的で鮭を食べる場合は、鮭の脂質を落とさない調理方法にする必要があります。
ホイル焼き|油を使わずに調理できる
ホイル焼きも、油を使わずに調理できます。キノコや野菜なども組み込みやすい調理方法なので、ダイエット中におすすめできる調理方法です。
また、ホイル焼きであれば鮭の脂質が流れ出る心配がありません。ムダな油は摂らずに、健康に良い脂質であるDHA・EPAが摂れる優れた調理法です。
レンジ蒸し|油を使わない&簡単
レンジ蒸しも油を使わない調理方法です。ホイル焼きと同じく、鮭の脂質が流れ出ないため、EPA・DHAを逃さずに摂り切れます。
また、食材を並べてレンチンするだけで完成するため、時間がないときや疲れたときにもおすすめです。
ダイエット中におすすめの鮭レシピ・メニュー4選!
ここでは、ダイエット中に食べたい鮭のレシピを4つご紹介します。
【包むだけで簡単】鮭のホイル焼き

DHA・EPAを逃さずに摂れるレシピです。フライパンが汚れないので、後片付けも簡単です。
材料
しめじ:1/3袋
玉ねぎ:1/4玉
ブロッコリー:1房
塩こしょう:少々
酒:大さじ1
レモン:2かけ
作り方
- 野菜を食べやすい大きさにカットする
- 2重にしたアルミホイルに材料を全て入れて閉じる
- フライパンに置き、弱~中火で15分間蒸す
アドバイス
エリンギ・えのき・にんじんなども合います。
ポン酢やレモン、出汁などを使うと、飽きなくて美味しく食べ続けられます。
同じ味だと飽きてしまうので、違う味付けを試してみてください!
【レンチンだけで簡単】鮭のレンジ蒸し
レンチンするだけなので、ホイル焼きよりも簡単です。
材料
きゃべつ:1枚
えのき:1袋
にら:2本
舞茸:1/2袋
レモン:1/3個
白ワイン(または酒):大さじ2
醤油:適量
作り方
- 野菜を食べやすい大きさにカットする
- 耐熱皿に野菜を敷きつめ、その上に鮭とレモンを乗せる
- 酒を振りかける
- ラップをふんわりとかけてレンジ500Wで7分ほど加熱する
- 熱が通っていなければ、追加で1~2分ほど加熱する
- お好みで醤油をかけて完成
アドバイス
スパイスを工夫することで、飽きずに何度も食べられます。
時間に余裕があれば、低いワット数で時間をかけてレンチンするとふっくらした出来になります。
350W:10分、200W:17分
※鮭の温度によっては十分に加熱されない場合があります。必ず食べる前に火が通っているか確認し、足りなければ追加で温めてください。
【マンネリ解消】サーモンのポキ丼

焼く・蒸すにマンネリ化しやすい鮭料理。たまにはサーモンを使って、マンネリを解消しましょう。
材料
サーモン:100g
アボカド:1/2個
・たれ
酒:大さじ1
みりん:大さじ1
しょうゆ:大さじ1
ごま油:小さじ2
にんにくチューブ:1~2cm
作り方
- たれを耐熱皿に入れ、レンジ500Wで1分温める
- たれは粗熱をとる
- サーモン・アボカドは角切りにする
- 粗熱をとったたれにサーモンとアボカドを漬け、1時間ほど冷蔵庫で寝かせる
- ごはんの上に、たれに漬けたサーモンとアボカドをかけて完成
アドバイス
「鮭ダイエットの注意点」で述べますが、鮭ではなく「養殖・生食用」のサーモンを使用しましょう。
鮭しかない場合は、加熱して焼鮭のポキ丼としても美味しくいただけます。
以下のたれでも美味しくいただけます。
・しょうゆ:大さじ1
・コチュジャン:大さじ1
・ごま油:小さじ2
・砂糖:小さじ1
・にんにくチューブ:1~2cm
【たくさん食べてOK】鮭とじゃがいものバター醤油炒め
じゃがいもはカロリーが低いため、同じカロリーで白米やパンよりもたくさん食べられます。
材料
じゃがいも:400g(Mサイズ4~5つ)
バター:15g
しょうゆ:大さじ2
こしょう:適量
作り方
- じゃがいもの皮をむき、食べやすい大きさに切る
- 切ったじゃがいもを耐熱容器に並べて、ラップをふんわりとかけて500Wで5分間加熱する
- フライパンにバターを入れて中火で熱し、溶けたら鮭・じゃがいもを炒める
- 鮭に火が通ったらしょうゆ・こしょうで味付けする
アドバイス
ただし、じゃがいもを400g使ったとしても、総カロリーは550kcalほどとかなりヘルシー。
ダイエット中、たくさん食べたくなったら試してください!
鮭は毎日食べてもよい?
鮭は毎日食べても大丈夫です。特に心配されがちなのは水銀ですが、鮭には健康を害するほどの水銀は含まれていないため、安心して食べられます。
鮭は、水銀の摂取に気をつけなければならない妊婦でも平常通り食べられる魚です。
妊婦の水銀耐容量は2.0 μg/kg体重/週であり、体重55kgの場合は1週間当たり111μg(2.0x55.5=111)です。
鮭1切れには、2.7μgしか水銀が含まれていないため、1週間に40切れ食べても大丈夫という計算になります。
魚の種類 | 80g当たりに 含まれる水銀 |
---|---|
鮭 | 2.7 μg |
サンマ | 4.2 μg |
クロマグロ (本マグロ) | 42 μg |
キンメダイ | 43 μg |
マッコウクジラ | 56 μg |
バンドウイルカ | 530 μg |
妊娠中の方は、大きな魚に注意しよう。
また、鮭の脂肪にポリ塩化ビフェニル(PCB)が含まれていることが確認されています。
ただし、PCBは多くの食品に含まれている物質であり、鮭にも人体に害があるレベルの量は含まれていないと考えられています。
鮭ダイエットの成功例|2か月で7kg減量も!

実際に、鮭ダイエットを成功させている例がいくつかあります。
ここでは、テレビ企画や研究などの結果を3つ紹介します。
3日で-1.6kg|チャンカワイのテレビ企画
2024年末にチャンカワイさんが鮭をたくさん食べ、ダイエットするテレビ企画がありました。3日間鮭を1日1匹食べるという企画でした。
- 1日目:鮭2.6kg、3,300kcalを摂取
→マイナス1.2kg - 2日目:鮭2.2kg、3,200kcalを摂取
→マイナス0.6kg - 3日目:鮭1匹と炭水化物の4,900kcal
→体重はプラス1.3kg
まとめると、3日間で11,400kcalを摂り、体重は0.5kg減りました。
結果的には、3日目に炭水化物を摂ったため体重は大幅に減りませんでしたが、1,2日目の結果だけを見ると鮭だけ食べてマイナス1.8kgを達成しています。
しかし、体重は水分量や排便によって大きく変化します。鮭だけを食べるダイエットは、長期的に続く方法ではなく、綺麗に痩せられるものではありません。
次からは、研究によって得られた信頼性の高い鮭ダイエットの結果をご紹介します。
2ヵ月で-7kg|鮭と30%のカロリー制限
30%のカロリー制限をしながら、鮭150g(2切れほど)を週3回食べることで、2ヵ月で7kgのダイエットに成功した例があります。
研究では、エネルギー必要量の30%をカットしたうえで、以下の4つのグループに分けてダイエット効果を検証しました。
- 魚を食べない。魚の脂質の代わりに、ひまわり油を摂る
- 魚を食べない。魚の脂質の代わりに、魚油カプセルを摂る
- 白身魚(タラ)150gを週に3回食べる
- 脂質の多い魚(鮭)150gを週に3回食べる
実験を2ヵ月続けると、以下の結果が得られました。
グループ | 男性の体重増減 | 女性の体重増減 |
---|---|---|
ひまわり油 | -5.3 ± 3.0 | -3.9 ± 2.6 |
魚油カプセル | -6.7 ± 3.6 | -4.4 ± 2.6 |
タラ | -6.5 ± 2.8 | -4.4 ± 2.3 |
鮭 | -7.0 ± 3.5 | -3.9 ± 2.3 |
全てのグループで体重が減りました。これは、30%のカロリー制限があったからだと考えられます。
最も体重が減ったのは、鮭を食べた男性のグループです。ひまわり油を摂ったグループに比べて、1.7kgも差が生まれました。
また、鮭を食べたグループは、男女問わず炎症マーカーや総コレステロールが最も減少しました。体重減少だけでなく、身体の健康にも役立っていることがわかります。
しかし、女性は鮭による体重減少が見られなかったことから、鮭を食べれば誰でも痩せられるという結果にはなりませんでした。

魚介類を食べると肥満リスクが76%減少
東日本大震災後に、避難生活を送る人を対象に行われた研究では、魚介類をよく食べていた人ほど、2年後に肥満になるリスクが低くなることがわかっています。
この研究では、魚介類の摂取頻度によって肥満のリスクが変化するのか検証しました。
その結果、魚介類を最もよく食べるグループは、最も食べないグループに比べて肥満になるリスクが76%減少することがわかっています。
このように、鮭をはじめとする魚介類を食べることで、肥満のリスクを低下できることがわかります。
この研究では、鮭に限らず魚介類を対象にしています。
鮭以外にもダイエット効果が高い魚はたくさんありますので、ダイエット中は魚介類を積極的に摂ってみてはいかがでしょうか。
鮭ダイエットの注意点
鮭はダイエットに向いている食材ですが、食べ方を間違えると太る原因になります。
塩分が多くならないようにする
鮭は多くの場合、販売の段階で塩が振られていたり、調理の際に塩で味付けしたりするため、塩分過多にならないよう注意が必要です。
塩を摂りすぎると、せっかくのダイエット効果が健康リスクによって損なわれる可能性があります。
また、むくんで太って見えるなど、ダイエット効果が実感しづらくなるリスクもあります。
塩が多く振られているものでは、切り身1切れにつき2g以上の食塩が含まれることがあります。
これは、2切れ食べるだけで1日の食塩摂取(男性7.5g、女性6.5g)の半分以上になる塩分量です。
塩分の摂りすぎを避けるためにも、買う際は「生鮭」などの塩が振られていない鮭を選び、調理する際は塩を振りすぎないよう気を付けてください。
減塩すると味気なくなることが多いですが、スパイスや出汁、レモンなどを活用すると、美味しく調理することができます。
減塩するための裏ワザは以下の記事で解説しています。高血圧気味・塩分をカットしたい方は参考にしてください。
生で食べる場合は養殖のサーモンにする

天然の鮭には、高い確率でアニサキスが寄生しています。アニサキスを飲み込んでしまうと、激しい腹痛や嘔吐などの症状があるアニサキス症にかかります。
特に、加熱処理や冷凍処理をしていない鮭の生食は危険です。「天然」や「加熱用」との記載がある場合は、必ず加熱しましょう。
養殖のサーモンはアニサキスのリスクが非常に低いため、基本的に生食できます。生で食べたい場合は「養殖」や「生食用」との記載があるサーモンを選びましょう。
※アニサキスは冷凍で死滅させることができますが、マイナス20℃で24時間以上の冷凍が必要です。
家庭用の冷凍庫や、厳密な温度管理ができない冷凍庫では死滅させることが難しいため、家庭では加熱処理をしましょう。
鮭を加えるのではなく、何かと置き換える
鮭がダイエットに良いからといって、既存の食事に「追加」する形で取り入れてしまうと、摂取カロリーが増えて太ります。
ダイエットのために鮭を食べているのに、効果が出ないばかりか、逆に体重が増加するため注意が必要です。
また、体重が増えるだけでなく、鮭の購入がムダな出費になってしまうため、鮭は何かと置き換える形で取り入れましょう。
まとめ|鮭ダイエットはカロリー制限も忘れずに
鮭は、健康によくダイエットにも向く優れた食品です。
塩分にさえ気を付ければ、食べ過ぎによる被害もありませんので、食事に積極的に取り入れてみてください。
ENAでは、ダイエットをはじめとする「食」に関する情報を、確かな証拠に基づいて解説しています。普段の食生活や「食」の学習に役立てていただければ幸いです。