もし、どれだけ食べても太らない甘いケーキやジュースがあったら…
甘党なら、一度は考えたことがあるはず。
夢のような話ですが「ゼロカロリー」を売り文句にした商品が既に売られています。
甘いのに「カロリーゼロ」を実現しているのが、食品添加物である甘味料です。
本記事では、甘味料の一つであるステビアを取り上げ、副作用の有無や糖尿病への効果を解説します。
1日に摂ってもよい量を理解し、健康的に甘さを楽しめるようになりましょう!
そもそもステビアとは
一般的に「ステビア」として日本で発売されているものは、Stevia rebaudiana Bertoniという植物です。
30種類以上のステビオール配糖体が含まれており、主にショ糖の150~300倍の甘さを示すステビオサイドと、250~400倍の甘さを示すバウディオサイドによって構成されています。
ステビアについて(クリックで詳細)
ステビア
ステビアの由来である「キク科ステビア属」には230もの種類がありますが、強い甘みを呈する「ステビオール配糖体」を産生するのはStevia rebaudiana Bertoniという植物のみです。
甘さ成分だけではなく、水溶性ビタミン(V.C.・V.B2.・葉酸)や、ミネラル(Zn、Fe、Ca、Kなど)などの栄養素も豊富に含んでいます。
現在はほとんど栽培されていませんが、かつて日本はステビアの主要生産国の一つでした。
ステビアに副作用はある?注意すべき人とは
ステビアは甘味料の中でも安全性が高いと言われています。
しかし、食品である以上は副作用はつきもの。安全のためにも、ステビアの副作用をよく理解してから使用しましょう。
ステビアに副作用はほぼない
結論、ステビアに副作用はないと考えてよいでしょう。パラグアイ人は1500年以上ステビアを使用していますが、副作用の報告は1つもないそうです。
日本でも2000年以降からステビアが大量消費されていますが、副作用の報告はありません。
大昔に避妊薬として使われていたことや、マウスの生殖機能が低下したとの報告がされたことで、生殖機能への悪影響が懸念されたこともありました。
ただ、その後行われた研究によって否定され、妊娠率や胎児への影響がないことが明らかになりました。
しかし、キク科の植物に属しているため、キク科の植物にアレルギーを持っている方は注意が必要です。
ブタクサやヨモギの花粉症を持っている方は、ほかの甘味料を摂取したほうがよいでしょう。
ステビアは1日にどれだけ摂っても良い?
欧州食品安全機関が定めるADI(一日摂取許容量)は4mg/kgです。体重50kgの方は、一日に200mg摂ってもよいことになります。
日本人の一日当たりの平均摂取量は1mg以下なので、ほとんどの方は摂りすぎを心配しなくてもよいでしょう。
ただし、市販のステビア入り甘味料を1日に5杯以上使用している方は注意が必要です。
ステビア含有量の求め方(クリックで詳細)
ステビアの含有量
甘さの大きさは
甘味度(ショ糖の甘さを1とした甘さの基準)×摂取量
で求めることが出来ます。
ここではエリスリトールが主成分の製品を例に、ステビア含有量を求めていきます。
エリスリトールの甘味度:0.8
ステビアの甘味度:300
砂糖の3倍の甘さを持つステビア入り商品5g(小さじ1)の甘さの大きさ
→3(砂糖の3倍の甘さ)×5(g)=15
製品5gの中にステビアは0.0Xgほどしか含まれていないので、エリスリトールが5g入っていると仮定すると、エリスリトールが呈している甘さの大きさは
→0.8(砂糖の0.8倍の甘さ)×5(g)=4
つまり、甘さの大きさ15のうちの4はエリスリトールが呈しています。
同時に、ステビアは15のうちの11の甘さを呈していることがわかります。
→300(砂糖の300倍の甘さ)×?(g)=11
→?(g)=11÷300(砂糖の300倍の甘さ)=0.0366…≒0.037
よって、ステビアの含有量は0.037g(37mg)ということがわかります。
ステビアの含有量が気になる方は、このようにして求めてください!
ステビアの摂取量が気になる方は、下の表を参考に摂取量を求めてみてください。
ステビアを用いた甘味料は、「砂糖の〇倍の甘さ」として売られているかと思います。
甘さの強さによってステビアの含有量が異なりますので、その甘さからステビアの含有量を調べてください。
砂糖より何倍甘い商品か | 5g(小さじ1)当たりのステビア含有量 |
---|---|
3倍 | 37mg |
2倍 | 20mg |
1倍 | 3g |
糖尿病にも良い!【ステビアの効果を紹介】
多くの方が、糖分を避けるために甘味料を使用していると思います。
その甘味料が、糖尿病や多くの病気の予防に役立つとしたら、夢のような話ですよね。
そんな夢のような話が、現実のものとなってきました。多くの研究によりステビアの効能が明らかになっています。
糖尿病の予防効果
最近の研究で、ステビアが糖尿病予防に役立つことがわかってきました。
(Ⅱ型)糖尿病は、糖分の摂りすぎや、血糖値を正常に保つインスリン機能の低下によって発症します。
ステビアは、インスリンの産生を増加させるという報告が多くされています。これにより、血糖値を低下させる(正常にする)機能が保たれ、糖尿病を予防できるのです。
さらに、糖尿病患者によく見られる「グリコシル化ヘモグロビン」が減少したことや、インスリンを分泌する「膵臓β細胞」の機能が改善したとの報告もされています。
このような研究報告から、ステビアは糖尿病の予防・改善に有効な添加物と期待されています。
抗がん作用
ステビアに含まれるステビオール、ステビオシドは、がん細胞の増殖を抑制し、がん細胞の生存率を低下させることがわかりました。
特に消化管系のがん、乳がんへの抗がん性が強く、がんの化学療法へ応用されるほどの効果があります。
肥満の予防効果
ステビアの摂取は、肥満へも効果があることがわかってきました。
ステビアは砂糖に比べて低カロリーで強い甘みを持っているので、食事のカロリーが減る傾向にあります。
単純に摂取するカロリーが減少し、肥満を予防できるのです。
また、人工甘味料は摂取してもさらに甘味を求めてしまう作用があるのですが、ステビアの摂取は空腹感や食欲に影響しないことがわかっています。
高血圧の予防効果
継続的な摂取が必要ですが、ステビアには、高血圧を予防・改善する効果があることが明らかになっています。
ある研究によると、ステビアに含まれているステビオサイドを摂取することにより、血圧降下作用が60分以上続くことが明らかになりました。
さらに別の研究では、軽度の高血圧患者が1日3回ステビオシドを摂ると、血圧が下がったという報告もされています。
虫歯の予防効果
最近の研究でステビアには、抗菌・抗歯肉炎作用があることが明らかになっています。
また、スクロース(砂糖の主成分)と比較すると、口腔内の細菌の増殖を抑える効果があることもわかっています。
砂糖をステビアに変えることで、虫歯や口臭を予防できるかもしれません。
子どもはステビアを摂っても良い?
甘味料に関する多くの研究は成人に対して行われており、ステビアが子どもに与える影響に関する研究は進んでいません。
しかし、ステビアは天然に存在し、人類が昔からハーブとして使用してきたため、子どもが摂っても問題ないと考えられています。
米国糖尿病協会は、子どもに関してもADI(一日摂取許容量)を守れば問題ないとの声明を出しています。
2021年に行われた研究では、ステビアは甘味料の中でも安全性が高く、摂取するメリットの方が大きいとの報告がされています。
これまで副作用の報告がほぼないことを考えると、子どもがステビアを摂ることは問題ないと言えるでしょう。
ちなみに、同研究では、摂ることがデメリットになる甘味料も紹介していました。
摂取するメリットが大きい | 摂取するデメリットが大きい |
ステビア 加工でんぷん ポリデキストロース | スクラロース アセスルファムK コーンシロップ(果糖ぶどう液糖) |
「摂取するデメリットが大きい」に属する甘味料は、今も安全性が懸念されている甘味料です。
非常に多くの食品に使用されていますが、子ども(特に小児)にはおすすめできません。特に小さなお子さまをお持ちの方には、可能な限り避けてください。
ステビアは栽培できる?
甘味料というと工場で作っているイメージが強いですが、ステビアは家でも栽培できます。
ホームセンターのハーブコーナーでも売られているので、気軽に栽培することが可能です。
栽培が簡単な部類に入るので、日当たり・風通しの良い場所で水やりを忘れなければ問題なく育ちます。葉を乾燥させれば長期保存も可能です。
育てたステビアは、ティーポットで浸出させたり、シロップにすることで楽しめます。
ステビアには弱い苦味もありますが、甘味が非常に強いため、苦みを強く感じることはほぼありません。
育てたステビアは、料理にはもちろん、コーヒーや紅茶にも使用できます。頻繁に砂糖を使っている方は、ステビアを使ってみてはいかがでしょうか。
まとめ|ステビアに副作用はほぼない
本記事では、ステビアの副作用・効果について解説してきました。
ステビアには副作用がほぼなく、糖尿病やがんに良い効果がたくさんあります。
もしこれらの病気で悩んでいましたら、砂糖の替わりにステビアを使ってみてはいかがでしょうか。
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