「毎日エナジードリンクを飲んでもいい?」
「エナジードリンクは何杯までOK?」
エナジードリンクが、不眠や疲労蓄積の原因となることはご存じでしょうか。
飲みすぎると頭痛や吐き気・不眠を引き起こし、さらに悪化すると、動悸や頻脈、腎臓・肝臓疾病を患う危険性もあります
本記事では、エナジードリンクがもたらす健康被害やそのメカニズム、飲む際の注意点を解説します。
最後までお読みいただければ、飲んでも良い時間帯や量をお分かりいただけます。
エナジードリンクが好きな方は、ぜひ参考にしてください!
エナジードリンクの飲み過ぎが健康に与える4つの悪影響
エナジードリンクの悪影響
- 不眠・寝付きが悪くなる
- 吐き気・頭痛
- 動悸・頻脈(心血管系の問題)
- 腎臓や肝臓の疾患
不眠・寝付きが悪くなる
エナジードリンクに含まれている「カフェイン」の覚醒作用により、不眠症状が出たり寝つきが悪くなることがあります。
カフェインは眠気を飛ばし、集中力を上げる効果がありますが、飲み方を間違えると寝なければいけない時間に寝付けなくなるなどの逆効果が出ます。
カフェインが体内からなくなる時間は、短い人で5時間、遅い人で10時間ほどです。
それに対してカフェインの効果があるのは2~4時間ほどと短め。
睡眠の質を上げるために、最低でも寝る5時間前からはエナジードリンクを控えるようにしましょう。
吐き気・頭痛
エナジードリンクに含まれるカフェインは、血管を収縮させる作用を持っています。
これによって血流が悪くなり、頭痛・吐き気を引き起こすことがあります。
また、カフェインが体内から抜けることで血管が元のサイズまで戻り、血流が増えることで頭痛が起こるケースもあります。
これは、カフェインを1ヶ月ほど絶たないと改善しません。
根本的に治すにはカフェインを長期間抜かないといけませんが、この時カフェインを摂ると血管収縮作用により一時的に頭痛は治るため「カフェインを摂ると頭痛が緩和される」と感じてしまいます。
もし、カフェインを絶った半日~1日後に頭が痛くなるのなら、長期のカフェイン絶ちをおすすめします。
動悸・頻脈(心血管系の問題)
エナジードリンクに含まれるカフェインやアルギニンには血流改善作用があります。
この作用により、エナジードリンクを飲みすぎてしまうと血流が過剰になり、動悸や頻脈に繋がります。
本来リラックスするはずの夕方以降に動悸や頻脈を起こしてしまうと、心臓への負担が過剰になって心筋が疲弊し、心血管系の疾病リスクが上昇します。
特に、心血管系に基礎疾患をお持ちの方は要注意。短期間に飲みすぎないようにしましょう。
腎臓や肝臓の疾患
エナジードリンクに含まれるカフェインは、腎臓や肝臓の疾病リスクを上げるとの研究報告がされています。
これまで、コーヒーを飲むと肝臓がんのリスクが低下することがわかっていたため、カフェインが肝臓がん予防に効いているのではないかと言われていました。
しかし現在、肝臓がん予防に作用しているのはコーヒーに含まれるポリフェノール(クロロゲン酸類)という説が有力になり、逆にカフェインが肝臓に悪影響を与えているのではないかと考えられています。
加えて、エナジードリンクを飲みすぎると、カフェインの利尿作用によって尿をろ過する役目を持つ腎臓に負担がかかり、腎臓の疾病リスクが上がるとも考えられています。
しかし、これらの悪影響は過剰に摂取した場合です。1日1,2杯程度でガンや疾病リスクが上がるわけではないので、過度な心配はいりません。
しかし、1日4,5杯と摂取している方は量を減らさないと、これらのリスクを受けてしまうことになります。
【3つのリスク】エナジードリンクを毎日飲むとどうなる?
適量の摂取であれば問題ありませんが、エナジードリンクをたくさん飲み続けると体に悪影響が出ます。
エナジードリンクを毎日飲むと
- 糖尿病・肥満のリスク増大
- 不眠や睡眠障害のリスク増大
- 疲労が溜まりやすくなる
糖尿病・肥満のリスク増大
エナジードリンクには多くの糖質・エネルギーが含まれています。
特に「おいしい」と感じるエナジードリンクには、多くの糖質・エネルギーが含まれている可能性が高いです。
エナジードリンクに含まれる糖質量
商品名 | 糖質量 | エネルギー量 | 角砂糖何個分? (1個3.5g) |
レッドブル (185mL) | 20.4g | 177.5kcal | 6個 |
モンスター (355mL) | 43.6g | 50kcal | 12個 |
オロナミンC (120mL) | 19g | 79kcal | 5個 |
リアルゴールド (190mL) | 26.6g | 106kcal | 8個 |
日本人の一日平均摂取量は300g程度ですので、1日1杯程度なら摂りすぎになるリスクは低いですが、2,3杯飲んでいる方は糖質を摂りすぎているかもしれません。
また、「ロカボ」といわれる低糖質ダイエットをしている方は特に注意です。
一般的に、ロカボは1日の糖質量を70~130gに抑えます。
しかし、モンスターを2本飲んでしまうと糖質約90g摂ってしまうことになるので、それだけで1日の糖質量に達してしまいます。
不眠や睡眠障害のリスク増大
エナジードリンクに含まれている「カフェイン」には眠気を抑える覚醒作用があり、これが不眠や睡眠障害を引き起こすことがあります。※メカニズムは以下で説明
特に、夕方以降にカフェインを摂ってしまうと、就寝時にも体内にカフェインが残ってしまいます。
なかなか寝付けない方は、カフェインが原因かもしれません。
疲労が溜まりやすくなる
カフェインによる覚醒作用は疲労による眠気を一時的に隠すため、エナジードリンクを頻繁に飲んでいると疲労に気づきにくくなります。
特に、夜にもうひと頑張りするためにエナジードリンクを飲んでいる方は要注意。
眠くなる
→眠気を隠すためにエナジードリンクを飲む
→カフェインによって睡眠が浅くなる
→寝ても疲れが取れない
→疲労がたまる
→眠くなる→・・・
という最悪な悪循環に陥ります。
エナジードリンクを飲んで疲労を溜めないために「昼過ぎに眠気を覚ますもの」として活用するのがおすすめです。
エナジードリンクの注意点
エナジードリンクの注意点
- エナジードリンクは1日2本までにする
- エナジードリンクは夕方までに飲み切る
- 小さな子供には絶対にあげない
エナジードリンクは1日1本までにする
糖尿病や肥満を防止するために、エナジードリンクは1日2本までに抑えるようにしましょう。
その中でも、ダイエットをしている方は1日1本以内に抑えるようにしましょう。
清涼飲料水全てに言えることですが、飲み物は咀嚼する必要がないため、カロリーに対しての満足感が食べ物に比べて低いです。
ついつい飲みすぎてしまい、カロリー過多になることが多いので、「1日〇本まで」と決めておくと良いでしょう。
エナジードリンクは夕方までに飲みきる
エナジードリンクに含まれるカフェインは、5~10時間ほど体内に残り続けます。
午後はカフェインを摂らないのがベストですが、最低でも夕方以降はカフェインを摂らないようにしましょう。
ただ、午前中に飲めば、日中の集中力を上げることができるため、飲む量さえ気を付ければエナジードリンクの良い効果が得られます。
エナジードリンクをどうしても摂りたい方は、午前中に摂るようにしましょう。
小さな子供には絶対にあげない
小さな子供がエナジードリンクを飲むと、最悪の場合死に至ることがあります。
死亡事故は6歳以下の意図しない事故が最多で、次いで12~17歳の青少年の事故(年間1,000件以上)が多くなっています。
主に、未成年に起きやすいカフェイン中毒によるもののため、20歳以上の症例はかなり少ないですが、2016年には日本でも20代の方がカフェイン中毒を起こしています。
また、アルコールとの併用では多くの方が軽度の健康被害を経験しています。
小さな子供には絶対にあげないことと、カフェイン錠剤やアルコールとの併用は避けるようにしてください。
エナジードリンクが健康に害を与えるメカニズム
エナジードリンクによる健康被害は、「糖質」と「カフェイン」によるものがありますが、ここではより短期間で重篤な症状につながるカフェインによる健康被害について取り上げていきます。
カフェイン摂取量が多くなるとどんな症状が出る?
カフェインによる有害反応は、摂取量が多くなるとより重症化します。
カフェイン量 | 症状 |
200mg | 不眠・神経質(イライラ)・ 腹痛・頭痛 |
400mg | 心血管系の不調(動悸・頻脈) カフェイン中毒・腎臓や肝臓の疾患 |
この中で特に健康被害が多いのは不眠で、カフェイン入りの飲料を日常的に摂取している人は、睡眠時間が短い傾向にあり、睡眠障害を経験している割合も多いです。
エナジードリンクは「眠気」を隠す
眠気は、「アデノシン」が「アデノシン受容体」に結合することで眠くなります。
アデノシンは疲れたときに分泌されるため、私たちは疲れたときに眠くなります。
しかし、カフェインはアデノシン受容体に結合するため、アデノシンが結合できなくなってしまうのです。
よって、疲れていても眠気を感じることができず、睡眠不足になってしまいます。
眠りの質を下げて疲れを溜めてしまう
カフェインは睡眠不足による疲れや眠気も隠すことができるため、睡眠不足の方はエナジードリンクをたくさん飲む傾向にあります。
しかし、疲れを誤魔化しているだけで疲れが取れているわけではないため、疲労は溜まっていきます。
その疲労を隠すためにエナジードリンクを飲み、それによって溜まった疲労を隠すためにエナジードリンクを飲み…を続けると、エナジードリンクの量がどんどん増えていきます。
エナジードリンクを飲みすぎると、カフェインの作用により睡眠の質が落ちるので、疲れが取れにくくなります。
このように、疲れを溜めて、夜寝ても抜け切れないサイクルができあがり、どんどん疲れがたまっていきます。
最終的にはカフェイン中毒を起こして死に至る危険性もあるので、くれぐれも飲みすぎには注意してください。
エナジードリンクのよくあるQ&A
エナジードリンクと栄養ドリンクの違いは?
エナジードリンクは清涼飲料水、栄養ドリンクは医薬部外品に分類されます。
栄養ドリンクには、肝細胞に働きかける「タウリン」が含まれていますが、清涼飲料水であるエナジードリンクにタウリンを添加することはできません。
その代わりにエナジードリンクには「アルギニン」が含まれている場合が多いです。
しかし、効果自体は似ているのに加え、覚醒作用のあるカフェインはどちらにも含まれています。
エナジードリンクを飲みすぎると脳が溶けるって本当?
嘘ですが、悪影響はあります。
脳の組織が溶けるというのは「脳が溶けるほど身体に悪い」という比喩で、実際に脳の組織が溶けるわけではありません。
1日1本嗜好品として楽しむ程度であれば、大きな悪影響は出ないと考えられているので、飲みすぎると危険ということを覚えておきましょう。
エナジードリンクの代わりに何を飲んだら良い?
主にカフェインの効果を代替できるものであれば、エナジードリンクとほぼ同様の効果を得ることができます。
カフェイン含有量 | |
コーヒー(100mL) | 60mg |
紅茶(100mL) | 30mg |
玉露(100mL) | 160mg |
レッドブル(255mL) | 80mg |
モンスター(355mL) | 142mg |
カフェインは、1回あたり200mg以下の摂取が推奨されています。
デスクワークでの効率アップであれば、カフェイン100mgでも効果が得られると考えられています。
カフェイン100mgは、缶コーヒー1缶(185mL缶)やペットボトル入りの紅茶(350mL)でも摂ることができるため、ダイエット中の方には低糖質・低カロリーのものに置き換えるのがおすすめです。
エナジードリンクによる死亡例はある?
4件あります。
僧帽弁逸脱症のため、医師からカフェイン摂取制限の指導を受けていた 25 歳女性 (オーストラリア) が、エナジードリンク「Race 2005」を 55 mL (カフェイン 10~19 g 含有) 摂取したところ、心室細動を生じて失神し、救命措置を受けたが死亡した
PMID:11419773
28 歳男性 (トルコ) が、習慣的に 1 本/日摂取していたエナジードリンク (カフェイン 80 mg/本含有) を一度に 3 本摂取したところ、5 時間後に動悸、吐き気を呈したがバスケットボールの試合に出場。
PMID:23896014
30 分間の試合後に意識不明となり救急搬送され、心室頻脈が認められ、治療を受けたが 3 日後に死亡した
20 代男性 (日本) が、眠気覚ましのため日常的にエナジードリンクを摂取していたところ (摂取量、期間不明) 、嘔吐を伴う体調不良を生じたが摂取を継続。
PMID:2017119090
大量の嘔吐、呼吸困難を生じて死亡し、死後の消化管カフェイン濃度が高値であったことから、カフェインを含むエナジードリンクとカフェイン製剤の併用が原因の中毒と考えられた
20 歳女性 (ポーランド) が、自家製の純カフェイン入りエナジードリンクを摂取していたところ (摂取量、期間不明) 、嘔吐し、急性心肺機能不全のため死亡した
PMID:28656354
美味しく飲む域を超えてしまうと、死亡に至るケースもあります。くれぐれも、飲みすぎには注意してください。
【まとめ】エナジードリンクの健康への影響
エナジードリンクは上手に活用すれば、美味しく集中力を上げられる強い味方になります。
エナジードリンクを飲むときに注意したいこと
夕方以降は飲まない
1日2本以内に抑える
これさえ守れば、エナジードリンクのメリットを最大限受けることができます。
エナジードリンクと上手に付き合って、仕事や勉強を効率よく終わらせましょう!
==